持続可能な未来に繋がる仕事や地域を生みだしている大人から学ぶ旅vol.7
カテゴリー : レポート投稿日 | 2021年1月22日(金)
【イマジン屋久島オンライン連続講座 ~持続可能な未来に繋がる仕事や地域を生みだしている大人から学ぶ旅vol.7 磯野謙さん レポート「自然エネルギー」】
NPO法人HUB&LABO Yakushimaの福元です。
(公財)屋久島環境文化財団で働きつつ、NPO法人HUB&LABO Yakushimaの代表理事として活動しています。
連続講座の第7回目は、
年々深刻化する環境問題。そして、東日本大震災で起こってしまった原発事故。「誰が未来に対して責任を取るのか」限りあるエネルギー資源を使い続けることに疑問を持ち、「エネルギーから世界を変える」という理念のもと、2011年に設立された自然電力株式会社の磯野謙さんをお招きします。
「持続可能な循環から考える経済のビジョン」を「自然エネルギー」から探求しました。
気候変動と温暖化
2018年には少なくとも世界224カ所で史上最高の気温を記録。
磯野さん自身も自然電力発電所を運営している各地でも、
毎年災害が発生していることから悪化が進んでいると体感しているとのこと。
数字からみても、世界の二酸化炭素の排出は
世界の1950年の人口増から負の遺産は始まっています。
ヨーロッパを中心に2050年までの二酸化炭素排出量を0にしようと世界でもかがげている。
その中でも磯野さんが衝撃を受けた、2100年に平均気温が2度上昇してしまった場合、世界中のサンゴが死んでしまうとの研究もあるとのこと。
気候変動によって生態系も壊れていくとも言われているそうです。
世界のCO2がどこから出ているか
基本的には電気を作ること。熱供給による人間活動で多くのCO2を排出しているそうです。
その観点で言えば屋久島は水力発電でCO2を出さない、世界に誇れる島であると言っていただきました。
次に排出しているのが、農業生産、林業生産。
次に移動。屋久島のことを考えたときに、自動車を電気自動車に帰ることは合理的で世界でも先に進んでいる事例になれるのではと思っているとのことでした。
屋久島の可能性を感じる嬉しいコメントです!
自然エネルギーは安価
自然エネルギー(再生可能エネルギー)は高いんじゃないかとイメージを持つ方も多いのではと思います。
実は太陽光は劇的にコストが下がっているそうです。
画像のグラフからもわかるように特に太陽光は、10年前から94%も価格が下がっているそうです。
日本では今、家庭で電気を買う場合は太陽光が安く、中小企業でももしかすると電気が安いとのこと。
自然エネルギーが高いという常識は過去のものになりはじめているそうです。
社会の構造変化と自然エネルギー
世界的な電気自動車のブームが来てい中、その電気自動車の電源がどこから来ているかが重要ですよね。
自然エネルギーがクリーンなエネルギーだから良いんだ、と考える方も多いと思います。
実はそれだけではなくて、社会の構造変化をしていることも大きな要因になっているとのことです。
なぜ、自然エネルギーを世界で取り組んでいるかと言うと、気候変動という大義を掲げているとと同時に、石油社会を終わらせ、そこで世界のパワーバランスを変えようと、取りに行こうとしてる国々の世界的な動きがあるとのこと。きれいごとじゃない世界が起きているのです。
ジェレミーレフスキンの【限界費用0社会と今日夕方経済の台頭】という著書の中では、コミュニケーションとエネルギー、輸送の技術が変わった時に社会の構造が変わると言われているそうです。
まさに今、社会構造が変わろうとしている過渡期。
ソサエティ―5.0、エネルギー、モビリティーの成長がまさに社会構造を変えています。
脱炭素へのビジョン
ヨーロッパの脱炭素へのビジョンがすごいと共有していただきました。
脱炭素へのステップはかなりシンプル。
エネルギーを自然エネルギーに変換して、電化していく。
このことだけで、CO2排出を半分に抑えることができるとのこと。
その点を考えると屋久島はその半分ができている島でもあります。
今後屋久島で何をできるのか、するべきなのかを考える必要があります。
自然エネルギーの本質
自然エネルギーの本質は、分散化社会の土台です
今まで分散化できなかったのは、19世紀以降大きな施設を作って規模の経済をとって、生産性を上げて効率を上げていく社会だったためであり、
これから自然エネルギーやデジタルの技術があれば、分散化しても非効率にならないとのことです。
なぜ自然エネルギーが分散化に重要かというと、例えば太陽光あればパネル1枚も10万枚買ってもコストがかからないそうです。
屋久島は例外ですが、離島の電気量は高い。普通は20円ぐらいの電気量を例えば種子島などの離島では40円で買っていると聞いているとのこと。
この観点からしても経済の合理性から考えても離島に工場を作りません。
ただ、離島で太陽光エネルギーで工場を動かせるようになると、電気代のコストの差がでなくなってくるとのこと。
離島は再生可能エネルギーが発展することで非常に大きなチャンスが生まれるのではと考えているそうで。
コロナの影響で、都会にいる意味がなくなる今、オンライン上で仕事が完結する社会。
物理的に不利であった離島がこれからポテンシャルが大いにあるとのことでした。
長野のエネルギー削減シナリオ
長野県では2050年に向けて何をどれくらいエネルギーを減らすかのシナリオを描いているそうでうす。
再生可能エネルギーを3倍に増やすシナリオ。
自然電力でも長野県の小布施町と合弁会社を作り、「ながの電力」という小水力発電や太陽光で公共施設に直接電力を送り、地域の電力を自給する事業を行っているとのこと。
SUMU Yakushima
屋久島でのプロジェクト「SUMU Yakushima」
水の循環が屋久島の美しさを作っている。
その循環を止めない、むしろ人間が環境に価値を与えるような住まいを作るプロジェクト。
大地の再生のみなさんに協力を得ながら、省エネと太陽光、蓄電池で完全なオフグリットの住まいを作ろうとしているそうです。
新しい住まい、新しい旅を作るプロジェクトこうご期待です。
最後に
気候変動への対策を考えると上でエネルギーのシフトは必須だと感じていました、社会構造も変化している過渡期にあるのだなと感じた時間でした。
特に都市部の一極集中型社会から分散化社会への社会構造の変化は、これから自然と共に共生していく社会への実現に向けて歓迎すべきことだと感じています。
屋久島という地域社会や地球全体を考えたエコシステムをいかに変容していくか。
持続化可能な屋久島の姿を思い描けた時間でした。
執筆者:福元(やっくん)NPO法人HUB&LABOYakushima代表理事/愛ある空気を醸す人
1989年生まれ。鹿児島県屋久島出身在住。「NPO法人HUB&LABOYakushima」代表理事。屋久島出身からやっくんと呼ばれる。家事と育児と仕事の両立を模索中。愛する我が子が「屋久島を大好きだと誇れる」ように環境教育、地域づくりなど日々活動してます。